中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍を夢見る戦災孤児の少年と中華統一を目指す若き王の運命を壮大なスケールで描く人気漫画『キングダム』(原泰久/集英社)。その実写映画化シリーズ第3弾『キングダム 運命の炎』が7月28日に公開された。シリーズ1作目から主人公の信を演じる山﨑賢人さんは、歴史を動かす力強い役柄同様、新たな挑戦に臆さず飛び込む“熱さ”を持っている。
01
『キングダム』に出会って約5年。大人数での戦闘シーンを重ねて、だいぶ肝が据わりました。
――2019年4月に公開されたシリーズ1作目から、変わらず信役を演じられている山﨑さん。本作の試写では、号泣されたとお聞きしました。
号泣しましたね。やっぱりストーリーが素晴らしくいいなと。嬴政役の吉沢亮さん、嬴政の恩人・紫夏役の杏さん始め、皆さんすごく熱くて。紫夏とのエピソードで号泣して、後半の戦闘シーンは内容を知っているのに「行け! 行け!」と思っていました。
――今回、信を演じるにあたって大事にしていたことは?
身体表現も含めて個性が強く、無謀なところにも突っ込んでいく感じが信らしさだと思っていますが、今回は1人の戦いではない、ということを常に意識していました。飛信隊の隊長として先頭に立ってみんなを引っ張っていく感覚。自分も撮影において、信を全力で演じることで共演者の方やスタッフさんを引っ張っていければと思っていたんですけど、飛信隊との関係性と同じく、皆さんに支えていただいたなとも感じています。長時間、一緒に過ごして、チームワークがより深まりました。信頼しあって、走り抜けた感覚があります。
――本作のように、同じ役を長く演じ続けるチャンスはあまりないことかと思いますが、シリーズを重ねるなかで、役と向き合う感覚に変化はありましたか?
『キングダム』と一緒に生きている時間も約5年。今は常に信がいる感覚です。信だったらこう行動するはず、という感じなので、現場でも迷いがありません。信が好きすぎて、もはや信と同化してしまった気がしています。でも、今回は信の成長している姿が描かれているので、パワーアップした信でいたい、という気持ちはありました。信は圧倒的なパワーを持っている人なので、前作以上に”陽“の部分を意識していたように思います。いずれ信という役を卒業するときが来るのかもしれないですけど、燃え尽きちゃいそうな気がしますね。闘争本能みたいなものがなくなっちゃうかもしれませんが、そうなれるくらい最後まで信を演じきりたいですね。
02
出会った縁やつながりを無駄にしたくないと考えたら、踏みとどまる必要なんてない。
――信をどんなキャラクターだと分析していらっしゃいますか。憧れる部分はありますか?
信は全部言えちゃうんです。心の声も全部言葉にする人。他の役を演じているときなら、これは言わないだろう、と思うことも信は全部言っちゃうから、気持ちいいですよね。そこが憧れる部分でもありますね。
――今回も激しいアクションシーンが見どころになっています。大変さを感じた部分はありましたか?
羌瘣(きょうかい)と2人、コンビネーションで戦っていくところは、かなり複雑な動きだったので大変でした。あとは、修行シーン。羌瘣が絡んでくると難しい動きが増えるので、苦労した記憶があります。練習期間を長めに取っていただいたのもありますけど、1作目でできなかったことが今回はできていたりして、自分もレベルアップしているんだと思えたところも多くありました。羌瘣とのコンビネーションもそうですけど、馬に乗りながら戦ったり、数人を投げ倒したり。積み重ねていた経験があるからこそ、当たり前のように倒していけるんだなと改めて思いました。
――撮影を通して、ご自身が1番変わった、成長を感じたところは?
大人数での戦闘シーンでは、メンタルの部分。だいぶ肝が据わりました。信としても、自分としても1番成長した姿を見せたいと思っていたのは、百人隊の隊長として演説するシーン。信としての芝居やアクションもそうですけど、これだけの大作で、本当にたくさんの方々が携わっているなかで主演として立たせてもらっていること。心身ともに肝が据わるというか。改めてどんどん映画『キングダム』が大きくなっているなという感覚がありました。でも、大事にしている部分はずっと変わっていないようにも思います。みんなで作っているんだ、という感覚。最近は、それをより強く思うようになりました。主演とか関係なく1人の役者として、という部分ではもちろんですけど、演じるキャラクターがどう周囲と関わっているのか。ただキャラクターの人生を見せるのではなく、その世界でどう生きているのか。俯瞰して見ることを大事にするようになりました。
俳優
山﨑 賢人
KENTO YAMAZAKI
1994年生まれ。2010年、ドラマ「熱海の捜査官」で俳優デビュー。2015年、映画「ヒロイン失格」、「orange-オレンジ-」で第39回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。映画「ジョジョの奇妙な冒険」、「羊と鋼の森」「キングダム」シリーズ、「劇場」、ドラマ「グッド・ドクター」、「今際の国のアリス」シリーズ、「アトムの童」など主演作多数。
※本稿は2023年8月掲載時点の情報となります。